全部黄色のハズが…交配の話



ズッキーニは、ウリ科のカボチャの仲間というのは、ご存知の方も多いと思います。

カボチャ、キュウリ、ズッキーニなどのウリ科は、雄花と雌花のある雌雄異花(しゆういか)という植物に分類され、雄しべの花粉を雌しべに付着することで受粉されます。花粉はミツバチなどによって運ばれます。

黄色のズッキーニの雄花の花粉を、他の緑色のズッキーニの雌花に受粉したら、
黄緑色のズッキーニができる?

そういったことは、ほとんどありません。(何度も実験済み)

雌花が形成された時から、雌花の根元には、黄色のズッキーニができています。
ズッキーニは、花粉の影響を受けるのではなく、雌花(本体)の影響を受けます。

なので、黄色のズッキーニにの雌花に、緑色のズッキーニの花粉を受粉しても、
黄緑にはなりません。


ただ、その実からできる種には、緑と黄色の情報が書き込まれています。
中学生の理科で勉強した、メンデルの法則です。

黄色のエンドウマメと、緑のエンドウマメを交配すると、
1代目には、優勢の黄色が現れる。

1代目の黄色同士を交配すると、
2代目には、黄色4:緑1となる。

1代目を種業界ではF1種(Filial 1 hybrid)と呼びます。

種苗会社は、おいしい・高栄養価の野菜を開発するために、色々な品種を交配させ、
新しい品種を作り出しています。

その新しい品種が、F1種(一代交配)です。


では、固定種はどうでしょう?

何度も黄色ばかりの種を採り続け、収穫できるほとんどが黄色のものを固定種といいます。しかし、黄色の固定種と緑の固定種を近くで栽培した場合、できた種は、新たなF1種となります。

固定種や、在来種の採種する場合、その特性をF1世代、F2世代に受け継ぐために、他の品種を交配しないように注意が必要です。

雄しべと雌しべが同じ花の中にあって、簡単に受粉できるマメ科は、比較的自家採種しやすく、ナス科は、それなりの面積と技術が必要。

ウリ科の他にも、アブラナ科全般、ホウレン草、トウモロコシ、麦などは、
自然交配による自家採種は難しいようです。

種苗会社は、他の品種が交わらないような広大な面積で、種を採取します。日本のような狭い土地では難しく、種袋の後ろに外国名が書かれているのは、その理由かと思われます。

KOM'S FARMでは、固定種・在来種・F1種にこだわらず、同じ畑で、色んな野菜を栽培し、ミツバチや蝶による自然交配を行なっているので、自家採種ができません。

黄色のズッキーニに緑の花粉を受粉させると、
そこから取れる種は、黄色ばかりではなくなってしまいます。

甘いトマトの種を採取して翌年植えたら、あまり甘くないものができたら、困ります。

病気なども、種に受け継がれるので、
病気感染している種を撒いた場合、全滅してしまいます。

こういったリスクを避けるために、自家採種を行ないません。


種の問題で、一番気にするのは「遺伝子組み換え」です。

今のところ、日本の種苗会社が取り扱っている種は、
遺伝子組み換えではなく、人工交配による品種改良だそうです。

そして、もし遺伝子組み換えだった場合、必ず農林水産省から告知があります。

遺伝子組み換えでないと信じて作付けしたものが、後日遺伝子組み換えと発覚した場合、
その作物は出荷できなくなってしまい、補償問題にもなりかねますね。


バクっと簡単ですが、種のお話でした。


さて、本題に。

今回なぜ種のお話をしたかというと、

ズッキーニの定植を終わらせ、雌花が付きました。
黄色のズッキーニの中に、深緑のズッキーニが1株あります。



定植の際、間違えたんじゃないの?と思われますが、
今回、深緑のズッキーニは栽培していないので、深緑が存在しないはずです。

そして、この種は、F1種(一代交配)の種です。
在来種や固定種ならあり得る話ですが、深緑はありえません・・・。

現在、種苗会社に問い合わせ中。

困りました。黄色の株が1つ減ってしまいました・・・。